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あらゆる出来事は依存関係にほかならない

大乗仏教、とくにナーガールジュナを祖とする中観(ちゅうがん)派の哲学者たちは次のように主張した。
-----何ものも真に実在するのではない。あらゆる事物は、見せかけだけの現象にすぎない。その真相についていえば空虚である。その本質を「欠いて」いるのである(中略)。
無も実在ではない。あらゆる事物は他のあらゆる事物に条件づけられて起こるのである。<空>というものは無や断滅ではなくて、肯定と否定、有と無、常住と断滅というような、二つのものの対立を離れたものである。したがって空とは、あらゆる事物の依存関係(relationality)にほかならない。

龍樹 (講談社学術文庫) 著者: 中村 元 / 講談社 / 文庫 / 2002-06-10
<空>の思想(16-17頁)



龍樹(ナーガールジュナ)らの中観派の思想について、著者の中村元さんが最初のほうで書かれている文章です。

「あらゆる事物は他のあらゆる事物に条件づけられて起こるのである。」という考え方は、いまの一般的な考え方で見落としがちなものを見せてくれるように思うのです。

今の社会の一般的な考え方は、絶対的にものごとが存在して、誰が誰と関わろうとも客観的に善悪が決定できるような真相が存在するというものです。
もっと言えば、社会は、「相対的でどちらとも言える」というような考えでは受け入れてもらえないところがあるのです。

たとえば、私が誰かに腹を立てるとします。
「なんてひどいことをしてくれたんだ!どうしてくれるんだ。」と憤慨します。

一般的な考え方からすれば、
「相手が私に対して客観的にひどいと決定できるようなことをしでかした。
だから、私は相手のことを避難したくなり、罰したくなるのだ。
他の人が見ても、これに同意するだろう。
だからわたしは、相手に腹を立てるのjは当然のことなのだ。」
というようなことを考えるわけです。

怒る主婦3


しかし先程の考え方を取り入れれば、私が相手に腹を立てたことも、「お互いに条件付けられて起きたことである。」という見方もできるわけです。

私が腹を立てたのは、その特定の相手が存在したから初めて成り立つことであったのです。
その相手がいて、その時に特定のこと起きて、それに対して反応する私がいて初めて「私が腹を立てる」という現象が成立したということです。

それは、相手が別の人では成立しなかった。
それは、私が当事者でなければ成立しなかった。
そして、それが起きるまでに、二人の間の様々な依存関係が積み重なってきていて、初めて成立することであった。

私は、その誰かに以前から様々な依存する関係を持って来ている。
今回の腹を立てる出来事も、それまでに起きた様々な関係がなければ起こり得なかった。
私は、その誰かに腹をたてることもあれば、助けられて感謝することもあったし、それだからこそ今回のことに憤慨したという因果関係もあるだろう。
つまり、今回の腹を立てるという感情も、それが単独では成立しないことである。
いままで、頼りにしたり、感謝したこともあるからこそ、相対的に腹をたてることになったのだ。

二人の関係だけを取り上げても、このように様々な要因が絡み合って、条件付けられて起きてきたひとつの出来事なのです。
ましてや、それ以外の様々な条件をそこに加味すれば、他には二度と起こらないユニークな出来事であったのだと見ることもできます。

こんなことをあれこれ考えていると、相手に対する怒りはどんどん薄まっていくような気がしませんか?

動物とたわむれる


「あらゆる出来事は依存関係にほかならない」

ついどこかに置き忘れてしまうのですが、言われてみればきっとそうであると感じられる、そんな見方ではないでしょうか。
そして、白黒をはっきりさせたがるギスギスした考えよりも、柔らかく優しい気持ちにさせてくれる考え方です。

ですが、現実の社会ではこんな考え方は、すぐに封じ込められてしまいます。

社会が求めるのは、はっきりと白黒がつけられ、誰の責任なのかがはっきりして、正しい方が間違っている方を糾弾してもいいのだと呼びかけるような考え方なのです。

「事情はわかりますけどね。みんながそんなことを言い出したらけじめがつかないんですよ。だから決まりですから従ってください。」と怒られてしまいます。

あるいは、「それは相手が悪いに決まっていますよ。もっと怒りなさい!」とけしかけられたりします。
自分では、「そんなに相手を非難したくないんだけど」と思っていても、そんな考えは封じられてしまいそうになります。

自分はなんとも思っていないのに、「社会を良くするためだからもっと怒りなさい」と余計なことを強要されたりするのです。

どんな社会も、善悪をはっきりさせて、時には誰かを糾弾することは必要悪なのだと言い切るのです。

訴訟


しかし、そのような社会に対して自分がどう振舞うかも、お互いの依存関係によって成り立つことです。
それに従うか拒否するかは私の側の条件次第です。

「社会がなんと言おうが影響されまい」と思うような条件を持ち合わせることになった人は、社会に対して拒否するという働きかけを行って社会に影響を与えることもできるわけです。

このような空観から世間を眺めれば、ずいぶん世界は違って見えてくるでしょう。

なにしろ、いちいち誰が悪いか決定しなくてもいいのです。
そう思うことが、どれだけ気持ちを軽くするか、考えてみてはいかがでしょうか。

今度腹を立てたくなったら、その出来事だけを捉えずに、それまでの依存関係を含めてトータルにとらえて眺め直してみるのです。
きっと毒が抜けていくことでしょう。


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こんにちは(^^)

相手に腹を立てたことも、「お互いに条件付けられて起きたことである。」…わかります。
そうですね~、今まで、相手を頼りにしていたり、感謝しているからこそ、腹をたてるというのもあるような気がしますね。
私は相手にちょっとでも感謝することがあると、それで「ま、いっか~」と思っちゃうんです。
腹を立てるということが、続かないのかも^^

Re: こんにちは(^^)

> 相手に腹を立てたことも、「お互いに条件付けられて起きたことである。」…わかります。
> そうですね~、今まで、相手を頼りにしていたり、感謝しているからこそ、腹をたてるというのもあるような気がしますね。
> 私は相手にちょっとでも感謝することがあると、それで「ま、いっか~」と思っちゃうんです。
> 腹を立てるということが、続かないのかも^^

いつまでも腹がたつようなことを思い出さなければいいのですが、それができないという人間の心理の癖があるみたいですね。
それをどう解釈するかは、いろんな見方があるわけですが、それまでの経験からなんでもなく出来る人、どうしてもできない人がいるものです。
人によってセットになっているものがあるんですね。
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