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非人情の天地に逍遥

私たちは安らぎを手に入れようとして、かえって苦しさを作り出すことに躍起になってしまうことが多いようです。

やろうとしていることが、自分を救ってくれて、楽になれると思い込んで動いているので、効果が得られなかったり余計苦しくなっても、それは努力が足りないせいだと思って余計動き回ってしまうのです。

つまり、間違った方向に努力しているから、やればやるほど泥沼にはまり込んでしまうのです。

間違った方向は、一見自分を幸せにしてくれる道に見えて、結果的に苦しさをもたらしてしまうという、実は自分を欺くものでしかないのです。

では間違った方向とはどういうものでしょうか。

私たちは技術を磨いたりや仕事を改善したりしようとして、いろいろ努力しようとします。
それらについては、確かに努力というものが結果をもたらしてくれます。

しかし、あなたが安らぎを手に入れたいのなら努力をしてはいけないのです。

なぜなら、その時のあなたの努力とは、あなたが幸せを作り出そうと考えているプランを実行するという努力だからです。

プランを実行しようとすることは、ありのままの現実を受け入れようとしないで、自分が思い込んでいる通りに現実を変えたいということなのです。

あなたのプランに基づいて現実を見るなら、ゆがんだ現実しか見えず、当然あなたのプランと現実はだんだんと別れ、離れ、遠ざかっていくのです。

それでもあなたの思い込みは、現実があなたのプランに合わせてくれるべきだと思っているのです。
そのときあなたは「あなたの思い込み」と一体になって、それこそが本当の自分だと思っていますから、それに反する事実はあなたへの攻撃であり脅威となってしまうのです。

ですから、あなたがそれに努力すればするほど、苦しい状況を作り出します。

しかし、逆にあなたがプランを諦め放り出したとき、あなたは初めてありのままの現実をみる余裕が出来てくるのです。

あなたのプラン、固定観念さえなければ、現実はあなたをわざわざ不幸にはしないのです。

幸せは自分で作り出せるものではないと認識して、何もしないと決めたとき、あなたの予想に反して不幸が作り出されることもストップするのです。

ペアのカップ


「しあわせは、あなたが生きていることそのものの中にあるのであって、作り出すものではない」
これが分かれば、それ以上無駄な努力をしようとは思わなくなるでしょう。

幸せは探しても見つかりません、またそれは努力してストックできるようなものでもありません。
他の財産と同じようにため込もうとする努力は意味がありません。

ではあなたが偽の「幸せプラン」を実行しようとする行動をどうやって見分ければいいでしょう。

まずはあなたが「これが幸せをもたらす」と考えていることを一旦離れた所から見てみることです。

そして効果がない、あるいは有害であるやり方を放棄することです。
あなたの望んでいるものは、考えても作り出せないとわかれば、プランを持ち続けること自体が問題であるとわかってきます。

持ち続けることが、それに執着する自分を強化し続けるのです。

自分の思い込みをチェックして、1つずつ手放していけばいいのです。

しかし最初から1つずつチェックするのも気が重いでしょうから、1つ面白いアイデアがあるのでそれを紹介してみましょう。

まずは、すこし横道にそれますが、夏目漱石の「草枕」について少し触れたいと思います。

「草枕」では30歳の洋画家である主人公は『非人情の天地に逍遥』することによって、『とかくに住みにくい』人の世を生きてみようとします。

この場合の『非人情』とは、人情に巻き込まれない第三者的な生き方を言っているようです。

このような一節があります。

余もこれから逢う人物を――百姓も、町人も、村役場の書記も、爺《じい》さんも婆《ばあ》さんも――ことごとく大自然の点景として描き出されたものと仮定して取こなして見よう。もっとも画中の人物と違って、彼らはおのがじし勝手な真似《まね》をするだろう。しかし普通の小説家のようにその勝手な真似の根本を探《さ》ぐって、心理作用に立ち入ったり、人事葛藤《じんじかっとう》の詮議立《せんぎだ》てをしては俗になる。動いても構わない。画中の人間が動くと見れば差《さ》し支《つかえ》ない。画中の人物はどう動いても平面以外に出られるものではない。平面以外に飛び出して、立方的に働くと思えばこそ、こっちと衝突したり、利害の交渉が起ったりして面倒になる。面倒になればなるほど美的に見ている訳《わけ》に行かなくなる。これから逢う人間には超然と遠き上から見物する気で、人情の電気がむやみに双方で起らないようにする。そうすれば相手がいくら働いても、こちらの懐《ふところ》には容易に飛び込めない訳だから、つまりは画《え》の前へ立って、画中の人物が画面の中《うち》をあちらこちらと騒ぎ廻るのを見るのと同じ訳になる。間《あいだ》三尺も隔《へだ》てていれば落ちついて見られる。あぶな気《げ》なしに見られる。言《ことば》を換《か》えて云えば、利害に気を奪われないから、全力を挙《あ》げて彼らの動作を芸術の方面から観察する事が出来る。余念もなく美か美でないかと鑒識《かんしき》する事が出来る。

青空文庫 図書カード:草枕



ここでは、自分の周りの現実を平面的な絵の世界だと思ってみようと言っています。

「ことごとく大自然の点景として描き出されたものと仮定して取こなして見よう。」

「動いても構わない。画中の人間が動くと見れば差し支ない。画中の人物はどう動いても平面以外に出られるものではない。」

絵に描かれた人物のように、相手を平面上に存在するものとして見て、相手はたとえ動いても、平面からは出てこないつもりで接しようと言っています。

そして「遠き上から見物する」、「人情の電気」が起こらないように、巻き込まれないでいようとします。

このように、相手との人情を切り離して世界を見てみることを「非人情の天地に逍遥」することだと言っているようです。

画家


それではこの世界観を踏まえて本題に戻りましょう。

「草枕」の主人公の場合は「芸術的観点」から世界を見ようとしているわけですが、これを応用して世界を見るとき、私たちは不幸を自分で作り出すような努力を切り離してしまった世界を見ることが出来ます。

「非人情の天地に逍遥」を思考実験として体験して見れば、一つ一つの自分の関わりをまとめてリセットしてみることが出来ます。

人情を切り離した関係の世界を体験してみれば、どこで人情というこだわりに自分を駆り立てようとしているかが見えてきます。

衝動的に巻き込まれる人情の世界を切り離して、たとえば「迫害者」「犠牲者」「救助者」のドラマを作り出すのを阻止してみるのです。

そうすることで、あなたは偽物の自己(エゴ)の働きが、本物の自分ではないことを発見することが出来ます。

あなたに恐怖をもたらすのが、偽物の自己(エゴ)が作り出している一時的な状況に過ぎず、決して永続的な恐怖にはなり得ないことも見えてきます。
それは、あなたが自分から関わらない限り存在しないのです。

あなたが努力しないと不幸になると思って駆り立てられ、不安を感じていたのは、本当のあなたではなく、自分だと思っていた偽の自己の働きであったことに気づきます。

そんな中に滞在して、あなたがどうしても本心から人情でかかわろうと思うことだけに参加すればいいわけです。

あなたが主体的にかかわらなければ、世界の出来事はあなたの身には降りかかっては来ません。

まわりの世界が原因で、それに自分が巻き込まれるという思い込みから、自分がかかわらなければ実は何も起こらないことを発見するのです。

違和感のある駆り立てられるような他の人への関わり方は、本当の自分の反応ではありません。

しかしあなたがそれを自分自身だと信じてしまうと、そのような偽物の自己はあなたの一部として存在を主張し続けることになります。
その偽の自己は、自分に従わないと大変なことになるとあなたを説得しようとするのです。

しかしそれに従うことは、結果的に傷ついて終わる偽物の交流を作り出します。
その傷は「誰かや何かが自分を傷つけた」というものです。

誰かや何かがあなたを傷つけることはできません。

自分が自分を傷つけることを許さない限り自分は傷つかないと承知していれば、それは偽物の傷にすぎないことが分かってきます。

わざわざ自分を傷つける行動を取るのは、賢明なやり方とは言えません。

「人情の電気」が起こらないように「遠き上から見物する」とき、偽物を見分けることが出来るのです。
「非人情に逍遙」してみることで、本当の関わりだけを選ぶ体験を選択することが出来ます。

旅1


知らない土地に旅行してみたとき、あなたはいつもより開放感を感じないでしょうか。
その開放感とはどこから来るのでしょう。

知っている人がいない開放感です。
知っている人は、あなたがいつもの人情に巻き込まれる存在です。

そこでは、あなたは自分を見せたい存在であるように着飾っていなければならないのです。
その人達は、努力している自分を証明して見せないといけない相手なのです。

だから知らない人ばかりの住む土地では、証明する必要を感じずに済むのでその分開放感が得られるのです。

知らない土地に行ったときと同じように、今の周りの世界を「非人情の天地」と見なしてみましょう。

「まわりの人物は平面上の人物であり、あなたがかかわろうとしなければ人情の電気は起こらないのです。」

自分の本物の人情を見つけるために、たまには「非人情に逍遙」する実験を試してみるのです。

「なぜいつもこのような目にあうのだろう?」ではなく、
「私の中のなにがこの状況を引き寄せているのか?」を問いかけてみることです。


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こんにちは^^

知っている人がいない開放感、すっごく共感できます。
旅行に行った時やまわりに知っている人がいない時、本当にゆったりとした気持ちになれますね~。
考えてみると、日常生活では、まわりを意識して努力をしているような気がします。
もっと自由にのびのびすれば良いんだなぁ、と思いました。

No title

努力。。。。
していると言えばしているし、
していないと言えばしていない。。。



Re: こんにちは^^

> 知っている人がいない開放感、すっごく共感できます。
> 旅行に行った時やまわりに知っている人がいない時、本当にゆったりとした気持ちになれますね~。
> 考えてみると、日常生活では、まわりを意識して努力をしているような気がします。
> もっと自由にのびのびすれば良いんだなぁ、と思いました。

最近の政治家への批判などを聞いていますと、一気に立場が逆転して正反対のことを言われたりしていますね。
あまり悲観的に考えることもないでしょうが、まわりに合わせることは、常に相手の考えが変わりうる危険を抱えているものです。

本当の自分の自然な思いを見失わないでいないと、しょっちゅう周りに引っ張られたり、傷つけられてしまいますね。


No title

とってもふかいい^^話で参考になりました
ありがとうございます
非人情って、ほんとうは、無駄な動きもなく、無駄な感情も使わず
でも気分いい~わたしもみんなもって感じかなあと
いらないことが多すぎた自分・・・もっと自由に非人情になって
自立します

Re: ほのぼのさん

> とってもふかいい^^話で参考になりました
> ありがとうございます
> 非人情って、ほんとうは、無駄な動きもなく、無駄な感情も使わず
> でも気分いい~わたしもみんなもって感じかなあと
> いらないことが多すぎた自分・・・もっと自由に非人情になって
> 自立します

ご理解いただけてよかったです。
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