自分に許可を与える
チャーリー・ブラウン
「朝、今日もマヌケなことを、絶対やりそうだって思いながら、目が覚めることってあるよね」
「そこで、朝ごはんを食べに、キッチンへ行って...」
「パンケーキを食べてるんじゃないってことをうっかり忘れて、コーンフレークにパンケーキのシロップをかけちゃうんだ...」
「とにかくマヌケなことが、ひとつ終了すれば、一応ホッとする!」

チャーリー・ブラウンとは逆に、自分になにか素晴らしいことが起きそうな期待がある、そう思った瞬間、ついついそれを躊躇してしまっていることはないでしょうか。
「あまりいいことが起こると、そのあと悪いことが待っているんじゃないか」とか、妙に疑いを感じてみたりします。
あるいは、そこまで行かなくても、チャーリー・ブラウンのように、間抜けな失敗をしてしまうことで、何かこんなものだと落ち着いてしまう。
あまりいい気分になると、悪いことが起きる様な気がしてしまう。
これらは、別に根拠があってそのように考えているわけではなく、自分の気分の習性といったものがもたらすものです。
例えば、子どもの頃、家の中で夢中になってはしゃいでいると、「うるさい!」だとか「危ないから、やめなさい!」など突然、親から叱られることを経験していないでしょうか。
親の様子を見ていて、「これ以上やると叱られそうだな」と予想している場合はいいのですが、親の気分はこどもには責任を持てませんから、突然カミナリを落とされたりしてしまうのは、防御しようがありません。
このような、状況と気分、感情がセットになっていて、それが呼び覚まされると、大人になってからも、こんなにうまくいって喜んでいると、何か起こるのではないかと思わせてしまうのです。
このような、子どもの頃に身につけてしまった、おなじみの感情(その多くは不快な感情である)は、ふとしたきっかけで蘇って、いまここでの現実をそのまま見るかわりに、その感情とセットとなっている状況を再現しようとします。
エリック・バーンは、このような感情をラケットと呼んで、その状況を作り出すような、現実の替わりに行う人とのやりとりをゲームと呼んでいます。
ここでは、それについては、深く触れませんが、興味のある方は、「交流分析」、「ゲーム」などを調べて見るといいでしょう。
次にラケットとは、「今?ここ」を考えるA(Adult)の思考よりも、子供のころに形成した脚本による行動である。そしてこの行動は、ラケット感情(幼い頃に感じ慣れた感情)を体験し、現状起こっていることを内部的に正当化するために、(1)実際の問題の解決というより、脚本に行動をあわせるために環境を操作する、(2)埋め込まれているゴールは、問題を解決するためにはさほど良く働かない、といえる。
ラケットは、子供の頃に経験した感情による行動を取り、一般的に、それらは苦しいと感じているにも関わらず、意識の外で起こるものであり、また誰かのせいで発生したと思われている。そして、その報酬は、子供の頃からの脚本である「人々はいつもボクを失望させる」という証明になり続け、いっそうその考えを強くしていくのである。 つまりラケットとゲームとは、ある環境で得たラケット感情を正当化するために使われる装置であり、結果、子供の頃の脚本はより強固なものになるといえる。
交流分析 - Wikipedia
要するに、私たちは、いまここでの、変わりつつある現実を、ありのままに見て反応する普通の行動以外にも、過去の記憶に縛られて、おなじみの感情と状況を再現してしまうような行動を、無意識のうちに行ってしまうのです。
その結果、待っている現実は、「やっぱり私は○○な状況に陥ってしまうんだ」ということを証明することになり、慣れ親しんだいやな感情に浸ることになってしまいます。
チャーリー・ブラウンは、このことを意識していたようですが、「とにかくマヌケなことが、ひとつ終了すれば、一応ホッとする!」という結末を向かえるのです。

しかし、肝心なことは、脚本にしろ、過去の記憶にしろ、今存在するものではないので、これらにとらわれずに、現在の出来事に沿って行動することを取り戻した方がいいわけです。
それには、このような自動的な感情のセットに自分で気づくことが、必要になります。
その気になれば、「自分がどういう感情でいることが多いか」を知るのは難しくないはずです。
現実でなく、代理の偽物の交流を選ぶのをやめて、自分の今の判断を信じてもいいのだという許可を与えることで、本物の感情や行動を取り戻せます。
「今日もマヌケなことを、絶対やりそう」というのは、過去の筋書きであって、自分はもうそれに従う必要はないと宣言することです。
それから、注意したいのは、このような「許し」は、楽しい気持ちが似合っています。
深刻に、「過去の亡霊を退治する」というように振りかぶってしまうと、逆に罠にはまってしまいます。
悩むことの悪循環の原因、そのひとつは、深刻なまま解決を探してしまうことです。
深刻さは、悩みの原因のメンバーですらあります。
気楽な気持ちで、「なんだ、過去のパターンに引きずられただけじゃないか!」という感じで軽く扱うのが、うまく脱出するコツではないかと思います。
また、「自分には過去のトラウマがあるから、うまくいかないんだ」とか、「自分には特別な事情があるんだ」などと言い訳するのは、逆効果でしかありません。
大事なのは、いまの自分の決意なのです。
ルーシー(大声でさけぶ):
「ワァーン!」
バイオレット:
「ルーシー、いったいどうしたの?私に何かできて?」
ルーシー:
「いいの、バイオレット...シクシク。あなたには、どうしようもないわ...」
ルーシー(得意げに):
「私の問題は、根が深いの!」

ルーシーの最後の言葉は、「何もやっても自分の深刻な心の問題は解決できない」と宣言することにより、自分の生き方を変えることの不安や感情に向き合うことを避けることが出来るのです。
自分が変わろうと決心しない限り、ルーシーは変化を避け続けることになります。
おなじみの感情には、耳を貸さずに、有無を言わせず却下してしまうことです。
自分自身に、選択する許可を与えましょう。
「こんな気分なのに、そんなこと出来ないよ」と思わないことです。
決断するのに、1秒もかかりませんし、時間をかけてはいけません。
スイッチオフで終わり、それ以上でもそれ以下でもありません。
美しい夕陽など見ている暇はないと思うなら、
考え直してほしい。
夕陽を一番見なければならないのは、
その暇がないときだ。
『今日が楽しくなる魔法の言葉』
アーニー・J・ゼリンスキー / ダイヤモンド社 / 2003-09-20
「参考」
『いいことから始めよう―スヌーピーと仲間たちからの生きるヒント』
エイブラハム・J. ツワルスキー 新潮社 / 1995-02
気に入っていただけたら応援お願いします ↓↓ ![]()
![]()
[関連記事]
感情を受け入れること
曖昧な気分と名付けられた感情
体験や記憶は起きたことそのものではない
- 関連記事
-
- ずっと、何だって、僕が悪いんだ(論理療法1) (2010/05/28)
- 自分に許可を与える (2010/05/20)
- A君と宿題と1週間(受相応) (2010/05/13)


現実とあなた自身のずれがなくなるほど、あなたは無理している自分を発見できるでしょう・・・
思考と感情からの解放~そして現実のみを信じる3ステップ|ヒーリング・スピリチュアル | ココナラ
スポンサード リンク