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口論と形而上学

形而上学という言葉を聞かれたことがあるでしょう。

しかし形而上学ってどういう意味かは、なんとなく曖昧にしかわからないのではないでしょうか。

そもそもこの「形而」というのがよくわからない言葉で、形而上、形而下という場合以外に見かけない言葉なのです。

形而上学は英語では「metaphysics(メタフィジックス)」といいます。
metaは「上」の意味を表す接頭語で、physicsは「物理学」の意味です。

metaは、他にも「メタ○○」という呼び方で「○○を超えた」という意味合いで使われます。

形而上学という場合には、物理学と言うよりも、目に見える物、形がある物を超えた、その背景にあるものを考えようという意味になります。

つまり、形のないものに対しての哲学的、精神的なものを考える学問領域ということです。

虫眼鏡で観察

物理学なら、今目の前にある物体が存在するという前提で、そのものの性質などを調べていきますね。
しかし形而上学では、例えば目に見えているものは絶対的に存在するのだろうかとか、その存在そのものを考えるわけです。

こうしてこの文章を読んでいる「わたし」という存在も、本当に「わたし」なるものが存在するのか、その属性を除いたときに残るものは何か、とか考えたりするわけです。

以前にこのブログでも、プラトンアリストテレスについての哲学史の記事を書きましたが、ブラトンのいう「イデア」というのは形而上のことを扱ったものでした。

プラトンは、わたしたちは「馬」という動物を見て知っているが、この現象として存在する馬には、その理想の型になるものがあってそれがイデアの世界にある「馬のイデア」であると考えたのでした。
実際の馬には、個体ごとに違いがありますが、「馬のイデア」はその大元になる理想の型であって、個々の馬はそれが現象として現れた物であるから細かい違いが生じるというのです。

馬1

プラトンのイデアはともかくとして、実際に見える物を研究する「形而下学」に対して、形の見えない概念的なことを扱うのが「形而上学」です。

さて「形而上学」なんてわたしたちには縁がないし、興味ないと思われるかも知れません。
しかし、わたしたちも目に見えないことを扱わないわけではありませんよね。

たとえば、愛とか友情とかいったことは目に見えない形而上の概念です。

形而上のことを会話で持ち出すときには、その意味をお互いに了解している必要があります。

しかし実際の会話では「ひとというのは、そんなことはしないものだよ。」とか「そんなことをして人間として恥ずかしくないの」とかいう非難を受けることがあるかも知れません。

この場合の「人間として」あるべき姿というのは形而上の問題ですね。

こんな非難を受けたとき、あなたならどう感じるでしょうか。

「やっぱりわたしは人間ができていないんだ。非難されるような未熟な人間なんだ。」と自分を責める人もいるでしょう。

あるいは「人間としてなんて言われても、そんなこと誰が決めたんだよ!」と反論したくなるかも知れません。

男の子悩む  けんか夫婦1


そもそもこんな強引な非難は口論するつもりがないなら、避けるべきでしょう。

「人がどうあるべきか」というのは実は自明ではないことなのですが、何となく世間の常識とか文化によって、曖昧ながら共通の認識があるようなつもりになっています。

そのとき形而上のことなのに、あたかもみんなで共有している常識によって形而下のものごとのように錯覚してしまうのです。

しかし実際にはそれは、人それぞれ異なる認識を持っているわけで、共通の認識があるわけではありません。

形而上のことを持ち出すなら、あらかじめお互いの定義を確認しあって共通の認識からスタートしないといけないわけです。

それなしに、乱暴に形而上の概念を使っていては、すぐに話がかみ合わなくなってしまうのが見えているのですが、なぜかお互いが理解していると思い込んでしまうのですね。

日本人は欧米の人ほどハッキリした宗教観を持たない人が多いでしょう。
学校で宗教を教えるわけでもありませんから、家族が宗教に縁がなければずっと無宗教の人も多いのではないかと思います。

そして、それは宗教観だけでなく形而上のことについても、曖昧に共通の理解があるものとして扱おうとする傾向があるのではないでしょうか。

それでうまく機能している分には、それもひとつのあり方かもしれませんが、現代のように価値観が多様化してくる時代には、曖昧なままでは問題が生じる可能性もあります。

言葉は物そのものではありませんし、形而上のことがらについては、特に言葉で説明するのは限界があります。
同じ言葉を使ったからといって共通の認識は得られないと思った方がいいでしょう。

不毛な口論にならないようにするには、そのひとがどのような前提でその言葉を使うのかを理解しておく必要があるのです。

そして、曖昧な認識が他の人との口論を生み出すということは、あなた自身のなかでも同様に葛藤を生み出す可能性があるのです。

あなたの「わたしとはどういう人間である」かを問い直してみることも大切かも知れません。


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形而上ってそういう意味なんですね
恥ずかしながら、ちょっとわかっていなかったです。

曖昧な言葉などをそのままにしていることが多い気もしますけど、欧米人はフレンドシップとかを定義していたりするものなんでしょうか?
そういう疑問自体が文化の違い?
考えていると、わけがわからなくなっちゃいますね(笑)

Re: タイトルなし

こちくんさん

哲学用語はよく解らない訳語がよくありますね。
止揚(しよう、独: aufheben アウフヘーベン)とか

恥の文化と罪の文化、いろいろ文化的な違いがあるのでしょう。

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