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混沌王の死

荘子の応帝王篇に「混沌王の死」という話が出てきます。

こんなお話です。

混沌の中から、天と地が生まれました。
天と地の王様は、もと住んでいた混沌の王様をときどき訪ねては、王からもてなされていました。
いつも混沌王にもてなされるので、お返しをしようと思い立った天と地の王様たちは、
混沌王には目も耳も鼻も口もない、これらがあれば、もっと楽しめるはずだと考えます。
そして人間と同じように七つの穴を開けてあげようとします。
七日間かけて、七つの穴を開け終わったあと、
次の日に混沌王を尋ねてみると、混沌王は死んでいました。


悩む王様

このはなしは、「人為が自然を壊す」という意味合いに解釈されることが多いようです。

七つの穴に象徴される人間の知覚は、まわりのものごとを観察します。
人間はそれに意味をみつけ、さらにそれらを説明しようと試みます。
ちょうど、ギリシャの自然哲学者達がやってきたようにです。

しかし混沌とは、説明がつかないから混沌です。

わたしたちは、混沌とした状態を嫌います。
そこに秩序を求めたがります。

説明がつかない状態をみると、なんとか自分が納得できる理由をさがしだそうとします。

なんとか理由を説明できると、なぜかほっとするのです。
しかしまわりのものごとは、なにも変わったわけではありません。

小さなこどもには、自分のまわりに起こることを説明する充分な知識がありません。
しかし、説明できないことについて、それほど不安を感じているようには見えません。

混沌のままあることにも、そのままで楽しんでいるようにも見えます。
それよりも、いま目の前にあることに夢中になっています。
いまかかわっていることを楽しむことだけを考えられるようです。

大人になると、なかなかそうはいきません。
それは、他の人に説明を求められることから来るのかも知れません。

「わたしは、説明できなくても平気です」というのは、他の人が許してくれません。

「あなたは、なぜそれをやったのですか?」と聞かれると、納得のいく説明をしなければならないのです。
自分のことを説明できることが、責任のある大人というものだからです。

学者風トラ


しかし、社会が許さないとしても、あなたのすべてがそれに従う必要はありません。

説明がつかないことに対して、無理矢理自分を納得させる必要はありません。
説明は、時と場所、時代や文化で変化していくものです。

説明をつけることに慣れきってしまうと、曖昧な状態に止まる耐性を無くしてしまうようです。

それも、時代が進むにつれて、だんだん加速してすぐに回答を欲しがる人ばかりが増えてきます。

どんなことでも、専門家を探せば、回答を見つけられるという思い込みが強くなります。
インターネットは、それをさらに加速して来たのかも知れません。

日本に住んでいると、未開の地などもはや無くなったかのようです。
なんでも、説明がつくのがあたりまえだという信念が定着してきます。

こころの問題ですら、説明してくれるものにすぐに飛びついてしまいます。

混沌のもたらす不安から逃れるために、何かを信じたいという思いは、もっともらしい説明があれば、すぐに信じてしまうのも無理からぬことです。

すぐに回答が探せる社会にあっては、自分のことも説明をつけてしまいたくなるのです。
しかし安易に説明を信じないで、曖昧な状態に止まる耐性を持っていることも必要ではないでしょうか。

それは、ことばによる説明というのは、ものごとの一面をあらすものに過ぎないという限界があるからです。

あなたのこころのなかには、説明されていないが、捨てられてはいけないものが、沢山存在するはずなのです。

それらを殺してしまうこと、それが「混沌王の死」ということかもしれません。

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はじめまして

いつも興味深く読ませていただいています。
最近、とある本をきっかけに老荘に関心をもち、
検索していたらたどり着きました。
記事を読んでいると、今まで悩んでいたことが
こんなにもすっきりと解決できるものなのか?と
驚いています。
今では、ブラウザのトップページに登録しちゃいました。
毎日更新を楽しみにしています。
ランキングもポチっしました♪

Re: はじめまして

honpanさん

メッセージありがとうございます。

そんな風に言っていただくと励みになります。
これからもよろしくお願いします。

No title

 こんにちは。
 この話ははじめて知りましたが、わたくしがこれまで読んできた小説のなかには、混沌が人間の始まりだとか、世界の始まりは混沌からだとかといった内容が比喩されている作品がたくさんありました。
 なるほど、なにかちょっと目が覚めた気分です。
 ありがとうございました。
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