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アリストテレス

アリストテレス(BC384?322)は、プラトンが61歳の時、プラトンの哲学学校アカデメイアに入ります。

父親は、高名な医者であり、自然科学者でした。
アリストテレス自身も、これを受け継いで、自然に対して関心を向け、そちらの方向から哲学、科学を発展させていくことになります。

アリストテレスは、まず師であるプラトンの考え方であるイデア論を、あっさり否定し、180度違った考えを展開します。

プラトンが、理性に重きを置いたのに対して、アリストテレスは感覚を重視したとも言えます。

また、アリストテレスは、物事を観察することで、性質や特徴を見出しては整理し、知識をきちんと体系化していくという、現代科学の基礎になる方法を築いた人でもありました。

まず、プラトンのイデア論の否定と、かわりになるアリストテレスの考え方から、見ていきましょう。

プラトンは、感覚界を超えた完全なイデア界を見いだし、イデアが自然界の現象よりも真実であると考えました。

そこに馬という動物がいる時、まずイデア界に馬のイデアが存在し、それの影絵のような存在として、感覚界において実際に私たちが見ている、すべての馬が存在できるのだと考えます。

馬1


しかしアリストテレスは、プラトンの考えは、本末転倒であると考えました。

馬のイデアというのは、私たち人間が、実際の多くの馬を見ていく中で、その共通性を見て作り上げた概念に過ぎない。
だから、そのような経験に先立つ、馬のイデアとか型が先に存在する訳ではない、というのです。

生まれてから一度も馬を見たことのない人が、急に馬の実物を見せられても、それが馬だとか、何であるかは解るわけがありません。

見たことのない、変な動物がいると思うだけです。

その後で、何度も馬を見たり、馬についての情報を蓄積していく中で、これが馬というものなんだとわかっていくのが自然です。

プラトンの言うような、馬のイデアがまずあるのだったら、時間をかけなくても、最初に馬を見た時に「馬」というイメージが浮かび上がってきたっていいはずです。

野菜ギャング


そこで、アリストテレスは、動物や植物を観察して、どんな特徴があり、どんな性質を持っているかをこと細かく記録して、分類していくことを始めます。

この種類の動物と、あの種類の動物は、こういう共通の性質を持っているから、これらを○○という分類名をつけようという具合に、知識の体系化をはじめたのです。

アリストテレスにとっては、型というのは、自然の外にあるものではなく、そのものの特有の性質なのだから、そのもの自体の中にあるということになります。

プラトンの、理性で考えたことが最高の現実という考えから、180度逆転して、アリストテレスは、最高の現実は知覚でとらえたこと、感じ取ったことにあると考えたのです。
そしてまた、方法論としては、「物事を観察して、記録を積み重ね、共通の性質や特徴を見つけ出して整理することで、知識を体系化していく」という、現代の科学の基礎を作り出した人でもありました。

雨とカエル


ところで、アリストテレスは、物事の原因について、現代では受け入れられなくなっていますが、「目的因」というおもしろい考えを持っていました。

たとえば、雨はなぜ降るのか。
雨が降るのは、水蒸気が雲になって冷やされて、それが水滴となって重力で地上に落ちてくるのだ。

ここで、アリストテレスは、原因というものを次のように考えます。

・気温が下がった時に、水蒸気(雲)がちょうどそこにあった「質料因」、つまり素材がそこにあったという原因。

・蒸気が冷やされた「作用因」、作用が及んだという原因。
・地上に降り注ぐことが水の形相、つまり本性である「形相因」
そしてもう一つ、
・雨が降るのは、植物や動物が成長するのに雨水が必要だから「目的因」。

今の考え方からすれば、雨によってもたらされた水が、植物や動物が成長するのに必要な条件である、というふうに考えます。

しかしアリストテレスの目的因とは、水があるから植物が成長できると考えるのです。

自然は全て目的にかなっているのであって、雨が降るのは、植物が成長できるという目的のために必要な原因である、という考えなのです。

このあたりは、「全ては偶然に起こって、その環境に適した生物がたまたまうまく成長できるのだ」と考えるか、あるいは「何かそこには目的とか、必然があって、ものごとが起きるのだ」と考えるかの違いのようなものですね。

ところで、アリストテレスの業績のもう一つは、「論理学」です。
「論理」というものを、学問にまで高めたという点です。

有名な三段論法というのも、アリストテレスが考えたものです。

大前提:すべての人間は死すべきものである。
小前提:ソクラテスは人間である。
結 論:ゆえにソクラテスは死すべきものである。

学者風トラ


ところで、アリストテレスは、アレキサンダー大王の家庭教師でもありました。

当時の世界を征服したアレキサンダー大王ですから、とんでもない支配者であったわけですが、アリストテレスはその人物の先生だったわけですから、当時の彼の名声はものすごいものであっただろうと想像されます。

そして、アリストテレスは「万学の祖」とも呼ばれるほど、その知識体系はあらゆることを網羅しており、当時としては完成度も高かったわけですから、後生への影響も多大なものがありました。

しかし、一方で、アリストテレスの諸説は、誤謬までもが無批判に支持されることになるという弊害もありました。

たとえば、現在も基本的に支持されている、デモクリトスの「原子論」にたいしては、「4元素論」を主張しました。

「脳は血液を冷やす機関」といった考え方も、長らく信じられてきました。

彼は「宇宙は地球を中心に廻っている」と考えたので、後の世でガリレイの地動説は、生涯にわたってアリストテレス学派と対立し、裁判にまで発展します。


さて最後に、アリストテレスは、結局弟子を育てることができなかったようです。
このため、ギリシア哲学の黄金時代を築いた3人の哲学者でしたが、
ソクラテス→プラトン→アリストテレス
という師弟関係は、アリストテレスで途絶えてしまいます。

アリストテレスは、ギリシア哲学で最後の哲学者になってしまいました。
そして、このあとの西洋哲学は、短くない混迷の時代を迎えることとなります。

参考
ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン ゴルデル 日本放送出版協会 (1995/06)
※哲学者の年代はソフィーの世界の記述にしたがっています。



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