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ソクラテス

自然哲学者たちは、自然を探求し、現代の科学にも大きな影響を与えました。
その一方で、ギリシアの文化の中心は、民主主義の舞台アテナイ移ります。

民主主義に参加するためには、人々への教育が必要であり、アテナイ市民は、人を説得する技術、弁論術(レトリック)を身につけることが、重要になりました。

その需要もあって、ほうぼうのギリシャの植民地から哲学者や教師が、アテナイに押し寄せてきて、市民を教えることで生計を立てるようになります。

かれらは、ソフィストと呼ばれます。

ギリシアの遺跡


ソフィストは「懐疑主義」の立場を取ります。つまり、人間は、決して自然や宇宙の謎に確かな答えは見つけられないだろうという立場です。

いっぽうで、ソフィストは、自分が人間であることは知っているし、人間は共に生きていくことを学ぶべきだとして、社会の中での人間のありように、関心を向けることに集中したのです。

プロタゴラス(BC487?420)は、「人間はあらゆるものの尺度だ」といいきります。
善悪は、人間の必要に応じて決められるもの、また、神については、神がいるのかいないのか、確かなことは、自分にはわからないとする、「不可知論者」の立場を取ります。

ソフィストたちは、「正しさには、絶対的な基準はない」と主張します。

考える動物1


そんななかで、ソクラテス(BC470?399)が登場します。

ソクラテスは、謎の多い人で、ソクラテス自身は何も書き残さなかったので、その考えの多くは、プラトンなど弟子の著述の中に記載されたことに頼っています。

ソクラテスは、賢人と呼ばれている人達や通りすがりの若者に対して、相手の考えを向上させることが目的の対話(産婆術とも呼ばれる)を行っていました。

しかし、当時の賢人たちは「常識」に執着したため、この方法は「知っているといっていることを、実は知らないのだ」ということを暴くことにつながり、相手は恥をかかされたとしてソクラテスを憎むようになっていきます。

このため、ソクラテスは「若者を堕落させ、神々を認めない」などの罪で公開裁判にかけられることになります。
500人の陪審員は、多数決によって、ほんのわずかの差でソクラテスに有罪を言い渡します。

ソクラテスは、自分の良心と真理を命より大事と考え、判決にしたがって自ら毒杯を飲み干します。

ソクラテスの時代に存在した、ソフィストたちは、どうでもいいようなことを論ずることで、お金をもらっていました。
それは、自分も世界も誤魔化して、何でも知っているような知ったかぶりをするやり方でした。

ソクラテスは、それに対して、自分だけが「自分は何も知らない」ということを自覚していて、その自覚があるおかげで、他の無自覚な人々に比べて優れているのだと考えていました。

討論


ソクラテスは哲学を展開する方法として、対話を通じて相手の持つ考え方に、疑問を投げかける問答法を使用します。

その方法は、自分ではなく、相手自身が知識を作り出すことを助けるというやり方であったため、「産婆術」と呼ばれています。

この問答法は、相手の矛盾や行き詰まりを自覚させて、相手自身に真理を発見させるものであり、イロニー(アイロニー)の語源であるエイロネイアともいわれます。

また、書物に記述せずに、もっぱら対話を用いようとしたのは、書き留めた「死んだ会話」ではなく、対話を通してノンバーバルなものも含めたすべての要素で、相手に伝えようとしたのだといわれています。

かれは、知らないことを何でも知っているようなフリをする、ソフィストたちの道を取らず、また知らないことに目をつぶって誤魔化すこともしない道を選びました。

そして、いつの世でも、その時の常識に従わずに、それに疑問を投げかけるものは、社会から危険視されるというリスクをおいます。

ソクラテスが、危険を冒して、自らの命を賭けても守ろうとしたのは、自分の理性に、良心の声に従うことでした。

正しい認識は、正しい行為につながる。そして正しい事をする人だけが正しい人間だと考えたのです。

ソクラテスは、自分の信念にもとることをすれば、人は幸福になれない。
心の奥深くでは正しくないと思っていることを、繰り返すことは、本当の幸せにはつながらない。

社会にあわせて、自分自身に嘘をついていたのでは、いかに社会に受け入れられても、正しくない方法であり、幸福にはなれないのだと考える訳です。

あくまでも、物事の本質を追究する姿勢、これはソクラテスがはじめたものとされ、彼が哲学の代名詞のように呼ばれるのも、ここから来ているのかも知れません。

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ところで、ソクラテスの用いた問答法というのは、こういうものです。

彼は、自分が何も知らない馬鹿のフリをして、ソフィストに質問をします。
たとえば「正しい」とはどういうことでしょうか?

ソフィストが説明をします。そしてその説明の矛盾点を見抜いたうえで、
それなら、「○○とはどういうことです?」「××は?」と問い詰めて行くわけです。

知ってますか


最後は、「なあんだ、やっぱりわからないんですね」といって公衆の面前で、賢者に恥をかかせるのです。
ソフィストならずとも、このやり方は相手を怒らせるものです。
他に方法はなかったのでしょうかね。

この時代のギリシアのアテナイでは、民主主義の政治が行われています。
ただし、現代のように、全ての人間に平等に参政権があるわけではありませんでした。

そして、多数決により採決で決定することが民主主義たる方法でした。
ソクラテスの有罪判決もこれに従うものでした。

ところが、上述のように、この時代には、ソフィストたちによる相対主義の考え方が浸透していたのです。

つまり、何が絶対正しいのかなど、誰にも決められるものではないという考えです。
それなのに、多数決なのですから、どういうことが起きるでしょうか。

先に雄弁に発言した人間の意見に、みんながつられて賛同するという結果を招くことは、想像に難くないでしょう。
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参考
ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン ゴルデル 日本放送出版協会 (1995/06)
※哲学者の年代はソフィーの世界の記述にしたがっています。



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ソクラテスおじさん

 たまたま、拝見しました。
 私は、哲学パ好きだけどソクラテスだけは
 「ソクラテス」おじさんもと音でいます。
 最初教えてくれた人が、国語の先生で
 教科書とも関係なかったので。
 今でも、親戚より近く、に文面を見るだけで涙がとまりませんが。
 
 私は、そんなおじさんが大好きです。

 自信が書をしつくもしない彼を、取り上げてくださって
 嬉しかったです。
 
 老荘思想も好きですが、私にとっては完璧すぎて
 ロボのように感じてしまうど


 ソクラテスは、尊敬すべき、「いち、おじさん」です。



 

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