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私は人の先には立たない

私は三宝を大事にしている。 老子

我に三宝有り
持して之を保つ
一に曰わく慈
二に曰わく倹
三に曰わく
敢て天下の先と為らず

老子道徳経 第六十七章

つまり三宝とはこの三つです。
「慈」(人を愛すること)
「倹」(必要でないものを欲しがらない)
「人の先に立たない」

宝箱


この中で、今回は「人の先に立たない」ということを考えてみたいと思います。

もとの老子のことばをどのように解釈するかは、色々意見が分かれるようです。
実は、道徳経には戦争に関係していると思われる文章も結構出てきます。
軍を率いるリーダーの資質として、リーダー面して先に立たずに、全体を見守る役割を忘れてはいけないといった意味にも取れます。
あるいは、政治を行うものは、民衆が自分たちの手柄で繁榮できていると感じられるように、後ろに隠れて自分の力は見せないでいるといった文章が他の箇所に出てきますが、それと関係すると取ることもできるでしょう。

しかし、老子が個人的な生き方として、三つの宝を大事にしていたと考えてもおかしくはないでしょう。

それらはともかくとして、もう少し自由にこの言葉から想像を膨らましてみましょう。

「人の先に立たない」「他の人の後ろからついていく」とは、現代の世の中においては、非常に消極的でやる気がない人間のように思われるでしょう。

いまの世の中は、一方で競争の害を説きながら、実態としては基本にあるのは競争に他ならないと言ってもいいでしょう。

自由に競争して構わないというのが、前提にあるわけです。
ですから、競争できるのにそれに参加しない人間は、置いておかれても文句は言えないと言わんばかりです。

受験戦争


子供の頃から「お受験」などと言って競争にさらされていきます。
親も競争に勝って人よりも上の地位に立てる人間になってくれることを密かに願います。

必要となれば、人をけ落としてでも自分が勝つことを厭わないのです。

これらのことは、おおっぴらに言わないまでも、暗黙の了解のようにみんなが承知しています。

それが常識になっているので、競争に参加することを尻込みする人間は低く見られたりするわけです。

しかし、これらの前提をとっぱらって、「私はあえて後ろから行く」と宣言してみたらどうなるでしょうか。

普段の生活で「おさきにどうぞ、私は後からでいいです。」と言ってみたら。

自分が真っ先にレジを済ませたいと、空いているレジを虎視眈々と狙うような真似をせずに、近くの列に並ぶようにする。
こんなことで神経をすり減らしては勿体無いでしょう。
自分が先に行きたいと焦っている人は、先に自分の番になったとしてもどこか不機嫌そうじゃないですか。
一番長い列に並んだからといって、せいぜい10分か20分しか違わないんだし、そんなに急いで何を自分は目指しているのかと考えてみる。
その程度の時間を無意識に気にするようになってしまった自分をこそ反省してみるのです。
そんなに時間に余裕のない生活を望んでいるのかと。
こんな馬鹿馬鹿しいことに神経をすり減らす必要がどこにあるだろうかと。
そんなふうに思ってしまえば、いくら後回しにされたって腹が立たなくなってきます。
イライラするのはもうやめたと決めた途端に、同じ景色も違って見えてくるのです。

バーゲン


「先に行かないと自分の分け前がなくなってしまう」
こんな考え方も、自分を急き立てる要因かもしれませんね。
これを推し進めると、新発売の製品を一番先に買いたいと思って徹夜で並んでしまうのかもしれません。
しかし、ほとんどの場合短いブームが去ると、その商品は時代遅れのものとなって、安くていつでも変える商品にかわってしまうのです。
それに必死の思い出獲得した戦利品も、その多くは使われもせず置きっぱなしになってしまう。
使い切れないほどほしい物を集めても、実際にそれを楽しむことはないのです。
「もう使わなくなったからあげるよ」と言われて、それを受け取った人がそれを思う存分楽しんだとしたら、どちらが満足のいく生活なのでしょう。

競争することも、それが自然な流れで発生しているうちは、楽しめるし意味もあるのです。
しかし、人間の思考というのは一度「競争するモード」にセットされてしまうと、必要なこともそうでないことも関係なしに、勝つ方法をひたすら追求してしまうのです。
普通なら、こんなことに勝ち負けをこだわっても仕方ないと感じるようなことも、「競争モード」にとりつかれると何でもかんでも、ただ勝たねばならないと思ってしまいます。

小さな子供とゲームをしたとき、勝たせてあげようと思わないですか?
それとも、おとな気なく自分が勝たないと気が済まないですか。
もしそうなら、不必要に競争に囚われているのかもしれませんね。

人と競争をしないことで、自分のペースを維持できます。
どっちが上でも私には関係ないと思えば、下手に神経を使わなくても済むのです。
そのようにしていれば、なんにでも勝ちたがっている人の余裕の無さが見えてくるし、哀れにさえ思えてきます。
本来競う必要がないことが、はっきりと見分けられるようになってきます。

競争に生きる人は、たとえ今自分が上にいても安堵感はありません。
今の地位を失うのではないかと、いつもビクビクしていなければなりません。
昨日まで1位にいた人は、今日の2位が許せない。そこに何ほどの違いもなくてもです。

競争に明け暮れている時というのは、熱病にかかっているようなものです。
熱が冷めれば、そこにたいした意味はなかったことが見えてきます。
しかし、その時はそれが死活問題だと映るのです。
自分の命を削っても、それに勝たねばと思ってしまうのです。
そのような経験がすべて意味が無いとは言えないでしょう。
しかし、それがすべてで、これからもずっとそうだと思うようなら、ちょっと考え直したほうがいいのです。

相変わらず、いじめが問題になっています。
いじめの問題は、先日のモラハラの問題とその根っこは同じようなものに思えます。
自分が勝たないと生きていけないから、弱い立場の者を徹底して攻撃しようとするのです。
その根底にあるのは、競争に勝つものだけが生き残れるという考えです。
いじめを何とかして欲しいと訴えながら、一方では他の子よりもいい成績を願う親。
その根底に共通してあるものが見えているでしょうか。

なにかとりとめがなくなってきましたが、話を戻しましょう。

「お先にどうぞ、私は後からでいいです。」と言ってみませんか。
不要な競争だと思ったら、自分から先に負けてしまって後ろに立ってみたらどうでしょう。

勝ち負けの結果を普段から他人に見せないようにする。
誇らしげに見せることが、また競争に自分を引き戻してしまうからです。

そこで感じる、ほっとするような安堵感、
久しく感じていなかったという人もいるのではないでしょうか。




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